名前が思い出せない

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会社で むかし同じ部署で ちょっとだけいっしょに働いていたことがある人で トイレや通路などで たま～に擦れ違う人がいます。

彼と お会いしたときには
「あ、おはようございます、なんか今日は特に寒いですね～」とか「暑いですね～」とか
挨拶します。

ちょっとした会話になることもあります。

彼は ボクシングが好きなのでタイトルマッチがあった翌日なんかに
トイレなどでバッタリ会うと その話になります。

その際 彼は
「あ、ryoujinさん どうも、昨日の試合見ました？」
みたいな感じで 私の名前を言ってくださいます。

私はというと超超失礼な話なのですが 彼の名前が出てこなくてどうしようもないのです、思い出せないのです。

これはいかん！、彼にバレないうちになんとかしなければ と思っていました。

ウチの会社には一応 名札というものがあって それを胸ポケットのところに付けましょう というルールがあるのですが 付けている人は皆無です。

彼の胸ポケットにも もちろん付いていません。

私は 彼のことを知っている人に
「あの人の名前なんていうんだっけ？」
と聞こうと思ったこともあったのですが、思いとどまりました。

その人が彼に
「なんかryoujinさんが君の名前を忘れちゃってたみたいで俺にコッソリ聞いてきたよ」
なんて悪気なくなにげなく言ったりしないとも限りません、
バレないようになんとかしたいのにこれはいけません。

そんなことを聞かされた日には 彼はイイ気分はしないでしょう。

ですので誰にも聞かずに なにがなんでも自力で彼の名前を知ろうとしました。

しかし いかんせん芸能人でもない人の名前なので調べようもなく、
どうしても思い出せず、誰にも聞けず、ということで長～い間途方に暮れる日々を送っていました。

そんなある日 今まさに階段を駆け上ろうとしている彼の後ろ姿を偶然見かけました。

彼はそうとう急いでいたようで 何かをポケットから落としながら それに気付かず駆け上がりました。

あっ！っと思ったのですが 名前がわからなかったし、後ろからでしたので なんて言って呼び止めようかと思っているうちに階段を駆け上がって行ってしまいました。

あれま～、なんか落としてったぞ～、しっかしパっと呼び止められなかったな～、なんていうんだっけな～彼の名前。

まあ なんにしても あの落とし物を彼に届けなければ と思いました。

近づいていって落とし物を拾い上げようとしたそのときです、
体中にイナズマが走りました。

彼が落としていった物 それは 何年もポケットに突っ込まれていたであろう 彼の名札でした。

床に伏せるように裏返しに落ちていました。

ドキドキしながらめくってみました。

うわ～っ 、い、いのうえさんだー！そうだあ！井上さんだあー！！

私は彼の部署へ行き「あ、どうも井上さん 落とし物ですよ」と名前を呼ばせていただき 渡すことができました。

ふ～っ、彼の名前が分かってよかった～、こんなタイムリーでラッキーな偶然てあるんですね、神様ありがとうございます。

もう今度からバッタリ会っても名前で呼べます＾＾

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タグ：名前 なまえ