カレーにソース [TAWAGOTO]
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私が育った家はカレーライスにソースをかけない家でした。
友達の家に遊びに行ってカレーをご馳走になることもありましたが、
ソースをかける家はありませんでした。
給食でカレーが出たときも、一緒にソースが出てくることはありませんでした。
給食がカレーの日に
「先生、ソースはないんですか?」
と聞く人はクラスに一人もいませんでした。
これがコロッケやトンカツだったら、誰かが聞いていたことでしょう。
そういう環境でしたので
子供の頃、カレーライスにソースをかけて食べる人がいるというのを知ったときは衝撃でした。
なんでそんなことをするのだろうと。
大人になった今はわかります。コロッケやトンカツにソースをかけるのと同じことだと思います。
その人がそのほうが旨いと思うからでしょう。そこに変だとか変じゃないだとかは無いと思います。
ま、それはさておき
私は一度もカレーにソースをかけて食べることなく大人になり、
年を重ねてまいりました。
そんなある日
妻が
「今日は本格的なカレーを作ってみようと思う」
と言いました。
私は
「カレールーじゃなくてカレー粉から作るやつ?」
と聞きました。
「そう、そういうやつ」
「いいね~、腹減らしておこうっと」
いつもの何倍もの時間が掛かって、やっとカレーが出来上がりました。超いいニオイです。
「うわ~旨そう、いっただっきま~す!」パクッ。
んっ?、超いい香りで見た目も旨そうなのですが、何かが足りない感じが否めません。
コクというか深みというかそういうものが足りないのです。
「どう?」
妻が言いました。
私は
「せっかく がんばって作ったのに申し訳ないんだけど何か足りない気がする」
と答えました。
「うん、私もそう思う」と妻。
「ま、これはこれで旨いよ」
「ねえ、ちょっとソースかけてみようか?」
「おっ、なるほど、ちょっとやってみようか!、
いままでカレーにソースってかけたことある?、俺はないんだけど」
「私もないよ、かける人がいるのは知ってたけど、私はありえないと思ってたからやったことないよ」
かけてみました。
パク
「ひょえ~!、うんめ~!」
「ウンマ~イ」
ビックリしました、バカみたいに旨くなったのです。
カレーにソース、腑に落ちました。
昭和の時代、まだカレールーがあまり出回っていなかった頃、それぞれの家庭でカレー粉からカレーを作ってみましたよと。
で、ちょっと足りないカレーが出来ちゃう家庭もありましたよと。
そんなとき、ちょっとモノ足りないから、とりあえずソースをかけてみましたよと。
そしたら急に旨くなりましたよと。
こんなエピソードが少なくない家庭で起こり、
またカレーがいまいちという家庭に「そんな時はソースよ」なんて言って広まり
カレーには当たり前のようにソース、という家庭が出来ていったのかもしれません。
今のコクも深みもあるカレールーから作るカレーでは出てこない発想かもしれませんが、
何かモノ足りないカレーには、ソースをかけたらもしかしてと思わせるものを私は確かに感じました。
その名残でいまでもカレーにソースをかける人がいるのは自然なことのように思えます。
今スーパーなどで売られている完成されたカレー、私は大好きです。
そして妻のカレー粉から作るカレーも腕が上がっていき
今では凄く旨いカレーを作るようになりました。いつも美味しいものをありがとうございます。
しかし、妻にリクエストしてしまう時があるのです。
「あのカレー粉から作る何だかモノ足りないカレーを作ってくれ」と。
「あのカレーにソースをかけて食いたいんだよな今日は」と。
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